
僕の地元の熊本県熊本市は、市民が使う水道水の100%を地下水でまかなっている、世界でもかなり珍しい地下水都市です。
熊本人は、この「地下水」という言葉にけっこう誇りを持っています。
蛇口をひねったら地下水が出てくる。熊本にいるとそれが当たり前なんですが、東京に出てくると、もちろんそうではありません。
ところが、吉祥寺に引っ越してくるとき、いろんな手続きをしていて、水道の手続きでちょっと意外なことを知りました。
東京都水道局ではなく、武蔵野市の水道局に連絡しないといけなかったんです。
「なんで東京都なのに、東京都水道局じゃないんだろう」と思ったら、武蔵野市は独自に水道事業をやっている。そして、地下水を使っているということでした。
熊本人は「地下水」という言葉に弱いので、武蔵野市も地下水なのか、とちょっと嬉しくなりました。
でも、武蔵境には東京都の浄水場がある
ところがです。
武蔵野市をランニングしていると、武蔵境のあたりに「境浄水場」という大きな浄水場があります。
しかも、これは東京都の施設なんですね。
はて。
武蔵野市は独自の水道で、地下水を使っているはずなのに、なぜ東京都の浄水場が武蔵野市にあるのか。
さらに調べてみると、この境浄水場から多摩湖のほうへ向かって遊歩道があるらしい。
つまり、多摩湖の水が武蔵野市まで来ている。
でも、井の頭池は湧き水だし、武蔵野市の水道も地下水だったはず。
つまり、水関係がよくわかっていない。
そこで探検隊は今日、境浄水場から多摩湖まで走ってみることにしました。
水道管の上を多摩湖まで走る

この道は、多摩湖から境浄水場へ水を送る管に沿って作られた道です。
つまり、多摩湖から武蔵野市まで地下を通っている水道管の上を、水の流れとは逆方向に走っていく。
これが本当にびっくりするぐらい一直線でした。
車も通らず、ずっと遊歩道。自転車は通れます。
多摩湖まで約10.8キロあります。
今日はかなり暑かったので、走りながら休憩して、ついでに水道について調べながら進みました。
調べてみると、東京の水の仕組みとして、多摩川の水を多摩湖に貯めて、そこから境浄水場へ送り、浄水した水を東京都内へ送っているということでした。
一方、武蔵野市の水道は、地下水だけではありません。
現在は地下水を中心にしながら、東京都から供給される水も混ぜて使っています。
つまり、僕が「武蔵野市も地下水なんだ」と喜んでいた話と、武蔵境に東京都の浄水場がある話は、別に矛盾していなかったんですね。
一本道の周りに普通の暮らしがある
それにしても面白かったのが、この水道道路です。
本当にずっと一直線。
たぶん水道管が先にあって、その上を道として整備したんだと思うんですが、今では普通に自転車で移動する人がいて、散歩する人がいて、道の周りには家が建っていて、そこで暮らしている人たちがいます。
もともとは東京に水を送るための線だったものが、今では普通の生活道路になっている。
そういう風景を見ながら走るのが、けっこう面白かったです。

多摩湖まで来てみる

そして多摩湖まで来ると、かなり雄大です。
要するに巨大なダムですね。
今日は、ものすごく単純に言えば「吉祥寺のほうから多摩湖まで、ただ一直線に走った」というだけなんです。
でも、その一直線の道がなぜ存在するのかというと、東京へ水を送るための水道管が地下に通っているからです。
水を送るために作られたルートだから、こんなに一直線なんですね。
それを知って走ると、ただの遊歩道がちょっと違って見えます。
東京という巨大な街で普通に蛇口をひねれば水が出てくる。その裏側に、多摩湖から境浄水場まで水を運ぶ仕組みがあって、その上を僕はいま走っている。
熊本では地下水が当たり前だった自分が、東京に来て、今度は東京の水がどこから来ているのかを走って見に行く。
そんな感じで今日は、近代から現代にかけて作られてきた東京の水の仕組みを、今ここに住んでいる人間として少し感じながら走る、ランニングの旅になりました。
暑かったですけど、なかなか面白かったです。
